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身代わり愛
第3章 サイカイ
「桜っ」
「…ご、ごめん」
腰を抜かしてしまった彼女の腕を引っ張り、また元のベンチへと座った。
「…揉めてた元彼?」
「そう…。見苦しいでしょ…」
苦しげに笑ってしまったあたしを、見逃さなかった彼だった。腕をひかれ彼の胸へ飛び込む。
「苦しいのは桜でしょ。いいよ、泣いて」
「…別にぃっ…苦しくなんかっ…!」
苦しみが涙として溢れた。あんなに簡単に捨てられてしまうとは思ってもいなかった。
「…必要としてくれる人が…いないの…あたしっ…!」
胸の中につっかえていたものが吹き出しては暴れる。
「…桜」
彼の白いワイシャツは彼女の涙でシミを作っていく。
「俺が…俺が…いるから…」
背中に回った腕をぎゅっと力を加えた。
「…アキラ…っ…」