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天使と悪魔は暁で交わる
第2章 どなた、ですか?
まぁ、髭、つったら、今の無精髭ドクターの事だろうけど?
人生なんでも、第一印象と人当たりが大事だと
そう思っているわたしは
桜井さんに尋ねるように、そうしたのだ。
「あぁ、髭ってね?
今の、相良センセの事」
「あぁ、ですよね?
お忙しいんでしょうね、無精髭」
剃る時間もないんだろうと当たり障りのない返事をしておく。
なかなか小芝居が上手くなったもんだ。
もう、面倒なかかわり合いも、探り合いもまっぴらごめん。
「救命だからね?
まぁ、時間がないっちゃ、ないだろうけど
変わった先生が多いわ
だって、自分の事より患者の命だもんね?」
桜井さんが器械を洗浄にかけながらそう言った。
どうせわたしもここでコキツカワレルに決まってる。
ま、結婚はもとより、彼氏だっていないし
自分を拘束するモノもヒトもいない。
だから、使われてもイイんだけどね?
「即戦力がきてくれて、本当に嬉しい!
改めて、宜しく」
桜井さんの声が途端に弾んだ気がした。
……ってか、どんだけしんどかったんだろ、って
思ってしまう。
「あ、こちらこそ、改めて宜しくお願いします」
一応、笑いながら
一応、イイ子のフリをして
わたしの救命勤務生活が幕を開けた。