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天使と悪魔は暁で交わる
第2章 どなた、ですか?
働き詰めとはこの事だ。
もう流石に疲れていた。
例の大木男は刺された男とはちょっとした怨恨の関係だったそうな。
いや、まぁ、要は「女の取り合い」をして
しかも、刺したのは彼女の方で
だけど大木男が男の方を許せなくて、っていう
なーんか、複雑な三角関係らしい。
「赤坂さん、凄かったですよー」
ナース①の宮城さんが申し送りファイルを振り回しながら言った。
「投げ飛ばしたんですって??」
いやいや。
「おまけに殴って黙らせたって!」
んな、あほな。
「AED一つダメにしたんでしょー?はぁー、やるわねぇ」
あんたら、めちゃくちゃだわ。
「そんな訳ないじゃないですか」
溜め息混じりに言って、ファイルを確認しながらサインをする。
「柔道ですかぁ?」
宮城さんが覗くように言ってきたので
違うよ、と首を振る。
「カッコよかったんですよー、ほんと」
ねー、と首を傾げて微笑む宮城さんは
まだピチピチの新人ナースだ。
「しかも沢木先生とオペ組んで
あれも凄かった!」
「えええええ!沢木先生と?」
沢木、と聞いてわたしの眉がピクリとあがる。