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天使と悪魔は暁で交わる
第2章 どなた、ですか?
「ねぇ、赤坂さん」
まだ、何か文句あるのか、こいつ。
「はい、何でしょうか」
手元が動き出した。
研修医前田はその手捌きに釘付け、になっていて
自分の分野が疎かだ。
まぁ、分かるけど。
確かに凄いと思う。
1分間で……あ、っとまたダメ癖。
どうしてもそのレベルでしか男を計算できないわたしの悪い癖だ。
まぁ、この件も致し方ない。
「赤坂さん、どこのナース?」
「は?」
「どこ出身?」
私は研修医前田の目の前で器械を振りながらも
首を傾げる。
「それはどの出身の事ですか」
あくまでも柔らかく対応したつもり。
関係ないし、関わりたくないし。
「東京?地方?」
「関東です」
プチン、と糸が切れて肝臓の修復が完了。
「ふーん、赤坂……瑠色、さん」
「……なにか?」
「いーえ」
滞りなんて勿論なく、完璧なほど完成されたオペが収束する。
あっという間だった。
獣男は女も、地位も、そして技術も
なんでも手玉にとれる厄介な男だった。