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再愛
第6章 再愛
晃司と仮面夫婦でいた月日は長かった。

晃司は、美樹の前ではパパの顔をして、毎日を過ごしていた。
私とは‥‥戸籍上のみで結ばれていた。

姉を抱いた晃司が許せなかった。

晃司は何度か求めてきた。

「やり直そう。
夏海‥‥」

その懇願するような顔で求められても、裏切りを思い出す度、汚らわしく感じ、私の心には嫌悪しか湧かない。

それでも、晃司の辛そうな顔を見ると、罪悪感も同時に湧く。

私は‥壊れていたの。

姉には小さな頃からよく言われたわ。

『夏海は、何でも私の物を欲しがったね』って。

そうよ。
お姉ちゃんの物は欲しかった。

真新しい洋服、本、辞書、バック、靴、他にもいろいろね。
何でだと思う?

生まれたのが一年違うだけで、ずっと、私はお姉ちゃんのお古ばかり。

真新しく綺麗な物は、いつだって、お姉ちゃんが独占したじゃない。

欲しがる理由は‥‥ちゃんと理屈が通っているのよ。


晃司は物じゃない。
お古でもない。

私が欲しかった理由は、これ以上ない程、理屈が通っていたの。

晃司を最初に捨てたのは、お姉ちゃんよ。

返せなんて言えないのよ。

なのに、どうしてよ‼︎

どうして私じゃないの‼︎
お姉ちゃんだったの‥‥

晃司‥‥

愛していたから、憎しみだって深くなるのよ。

晃司‥‥

愛していた‥

あなたを許せない程、愛していたの。
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