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再愛
第6章 再愛
あの日、いつもと同じあなただったから、別れの予感を私は心で否定し続けた。

でも違うんだよね。

あなたが有休を取ってくれて、朝からずっと一緒だったのは、あの日が最初で最後だった。

鈍感でも、その違いに気づくべきよね。

あなたと別れたくない私は、別れの予感を見て見ぬ振りをしたかっただけ。

一日中愛し合い、約束の場所でキスを交わす。

あなたが最後に掛けた優しさだった。

あなたは、帰り道の駅で私を抱きしめて、人目を避けてキスをしたんだ。

ぎゅっと抱きしめて、『俺は見守っているから』って、言葉を残して、私を見送った。


あのシーンが本当に最後でったね。

当たり前よね。
私達、現実に帰らないとね。

私とあなたは‥‥もう違う。

帰る場所があるあなたは、其処に戻っただけ。

最初から、あなたの居場所は其処だもの。

私とは、寄り道しただけ。


あの日以来、あなたの連絡が滞った。
鈍感な私でも気づく程。


狡いな‥‥

あなたの口から別れの言葉を言って欲しかったな。

バカな女なら追うよ?
失うものないからさ、あなたを本気で奪いにかかるよ?
どんな汚い手を使っても、欲しいものは欲しい。

もう、私は‥‥諦めるとか我慢するの出来ないくらい、堕ちるのも簡単なのよ。
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