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再愛
第3章 君を知る
樹良は俺を慰めるかのように言うんだ。

「私には父が二人居ます。
本当の父と、12歳の時から育ててくれた父。
二人の父も、母の死を哀しみました。
杉下さんのように、涙を隠すように泣いて…
一番、泣きたいのは、私ですよ。
母の生き方に20年付き合って、最期は呆気なく、病気で死んじゃたんですから。
母の過去を知った時は、これでもかなりショツクを受けたんです。
厭な女ですよ。
全く…知りたくもなかった。
でも、知ってしまったから…余計、杉下さんに会いたくなった。

母が父と離婚したのは、真っ直ぐに生きる為でした。
秋吉の父と再婚したのは、残りの人生を真っ当に生きる為でした。

その間に杉下さんが居たんです」


「えっ?」

「私には、そう思えました」


頭が混乱した。
本来、樹良には恨み辛みを言われ、罵倒されても仕方ない程の事をしている。

「君にはすまない事をしたと思ってる。
詫びたところで許されないだろうけど…」

「許せませんよ。
本来ならね…
それでも…
母の愛した人に会ってみたかった。
がっかりする人じゃなくて良かった」

凛とした眼差しで俺を見る、樹良。


「蛍さんのご冥福を祈ります」
この言葉を最後に言うのが精一杯だった。

USBを受け取り、樹良と別れた。

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