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再愛
第4章 今日という、1日
USBはスーツの上着のポケットに入れた。
樹良と会った、たった数時間。

俺は、溢れる涙に我慢が出来なかった。

蛍…
別れてから、何処かで君が幸せに生きてる事を願った。

この広い世界で、空はどこまでも続くように、君がこの同じ空の下、君らしく生き、例え、躓く日があろうとも、それを跳ね返す力を蓄えながら、日々を送っているものとばかり思っていた。

もう、会う事もないと思っていた君から、
10年振りに、『会いたい』と連絡が入り、胸を躍らせてしまった。

会ってはいけないという、理性がなくなる程、俺も君に会いたいと思ってしまったんだ。

今日、10年振りに君に会えると思った。
あのベンチであの日を懐かしみながら、自然と口から出てしまうであろう、言葉を交わしたかった。

お互いに歳も取ったし、色気のある事は成り行き任せでいいな…なんてスケベ心を僅かに残して、あの場所に行ったんだ。

君が居なくなってしまった世界は、今日の空模様のように、グレーがかっていて、廃墟の中に閉じ込められ、置いてけぼりにされたように、寂しくて、居た堪れなくて…どうしょうもなく、哀しい。

もう、永遠に会えないんだな…
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