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再愛
第1章 あの場所で
名残惜しくても、
こういう関係には、お互いに許された時間という、制限がある。

独身の男女とは違い、そういう時間があるからこそ、切なさを一途を辿り、のめり込んでしまうのかもしれない。

現実逃避している癖に、より現実的にお互いの立場を理解しながらでしか、この関係は成り立たないのだから。

「東京駅発、19時20分に乗らないと」

「駅まで送ってくよ」

「有難う」

キスで盛り上がっても、夢の時間はいつか終わる。

「楽しかった」

「俺も。
また、近いうちに時間を作ろう」

「えぇ」

手を繋ぎ、エレベーターに乗って、下へと下り、帰る時間を気にし始め、夢の世界から現実に帰る寂しさが募る。

エレベーターの中は、ラッキーな事に二人きりとなった。時間を惜しむように、唇を求め合った。

こんな情熱的なキスすら、蛍に出会うまで、忘れ掛けていた。

だからかな…

また、君に会えるというのに、懐かしい思いが巡るばかりだ。

心は、君と重ねた想い出を遡ってドキドキが止まらなくなる…
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