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アホはお前じゃ 
第3章  
 とまぁ、少し話が逸れてしまいましたが。
 綾香ちゃんに出会う前はだいたいこんな感じでですね?


 大基はモノ凄い精神力で好奇心に煽られた性欲を制御し、常人として生きていたんです。


 もっとも。
 大基も男なので、仕事以外で好奇心を煽られる場合もあります。
 そんなときは欲望に忠実に行動してナンパしたり、欲望を果たせなかったときはプロや素人の女性を買ったり、またはそれに近い形で女性と関係したりして、上手に性欲をコントロールしていました。


 ですので具体的に申し上げるならば、


 衝動的な好奇心の捌け口が必要なときは一番手短な存在である私の膣。
 少し気持ちに余裕のあるときは3千円で尻の穴まで相手してくれる人妻Mさんの膣。
 または、セックス依存症を患っており「抱いて欲しい」としょっちゅう自分から電話をかけてくるナマ中出しOKの中学生Kちゃんの膣。
 あとはスポーツジムで口説き落とした女子大生とか、ナンパで落としたOLとか、飲み屋で知り合ったフリーターとか、友達の友達で友達になったホステスとか。

 いずれかの膣を状況に合わせて使用して、大基はなんとか常人としての精神を保っていたわけなんです。



 ・・・それなのに。
 大基の自制心は、動画の中の綾香ちゃんによって、いとも簡単に破壊させられてしまったんです。



 つまるところ、綾香ちゃんは大基にとってとてつもなく魅力的な女性だった。
 と捉えていただけると嬉しいです。



 ・・・こんな風に簡単には書いていますが、実のところ、私が大基の相手をしてくれていた女性に対して完璧な平常心を保てていたのか、と問われると、そうではないと言わざるを得ません。


 “感情”という起伏の激しい生物を心の中で飼育している女としては、よその女に相手してもらう為に玄関の外へ出て行く大基の背中を見るたび、心の中でどろどろに腐ったなにかががぶくぶく泡を立てて煮詰まっていたのは事実です。


 けれども、前途しましたとおり、私は自分がつまらない女だと自負しておりますので。


 大基が常人でいられるならば、私が妻としての心の安泰を捨てるくらい安いものだと考え「自分の容姿と具合と立場を考え、諦め受け入れる」という心の護身術をつかい、のうのうと生きておりました。




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