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アホはお前じゃ
第3章
さて。
話が大きく逸れてしまったので、話を戻そうと思います。
杵淵先生のお母様が大基の店へパソコンを持ち込んだ・・・
いえ、大基が綾香ちゃんに出会った、その晩のことだったでしょうか。
案の定、杵淵先生が血相を変えてやって来ました。
店でなく自宅マンションにやって来たのはなぜだったんでしょう。
そこだけは今でも謎のままです。
夜更けから降り出した雨のせいで杵淵先生の背広の肩はぐっしょり湿っていました。
杵淵先生は頂点の禿げを隠していた毛量の少ない長いストレートの髪を濡れた耳に垂らして息を切らせていました。
肉厚で染みだらけの手には銀行のロゴが入った封筒が握られていました。
玄関先で対応している大基の背中を、私は生後二週間の次女を腕の中に抱きながら見守っていました。
長女が眠っていたのは幸いでした。
杵淵先生は「すぐにパソコンを返してくれ」と言いました。
その時手渡された封筒の中身を後ほど確認すると、5万円ほど入っていました。
大基は「もう店閉めちゃったんで明日お母様にお返ししときますよ」とシラを切ろうとしました。
当然、杵淵先生は焦っていました。
「中を見たんやろ?言うてることわかるやろ?困るんや、早く返してくれ」
話が大きく逸れてしまったので、話を戻そうと思います。
杵淵先生のお母様が大基の店へパソコンを持ち込んだ・・・
いえ、大基が綾香ちゃんに出会った、その晩のことだったでしょうか。
案の定、杵淵先生が血相を変えてやって来ました。
店でなく自宅マンションにやって来たのはなぜだったんでしょう。
そこだけは今でも謎のままです。
夜更けから降り出した雨のせいで杵淵先生の背広の肩はぐっしょり湿っていました。
杵淵先生は頂点の禿げを隠していた毛量の少ない長いストレートの髪を濡れた耳に垂らして息を切らせていました。
肉厚で染みだらけの手には銀行のロゴが入った封筒が握られていました。
玄関先で対応している大基の背中を、私は生後二週間の次女を腕の中に抱きながら見守っていました。
長女が眠っていたのは幸いでした。
杵淵先生は「すぐにパソコンを返してくれ」と言いました。
その時手渡された封筒の中身を後ほど確認すると、5万円ほど入っていました。
大基は「もう店閉めちゃったんで明日お母様にお返ししときますよ」とシラを切ろうとしました。
当然、杵淵先生は焦っていました。
「中を見たんやろ?言うてることわかるやろ?困るんや、早く返してくれ」