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第16章 獣 -祐樹side-
午前中はなんだかんだで仕事にならなかった。
昼からは現場に逃げたが、現場でも噂が回っていて、ここでも質問攻めに合う。

相手が理香だから…なんだろうな。
まぁ、これで理香に近寄る悪い虫が減ればいい。




俺は仕事を定時で切り上げ、理香を迎えに行く。

「お疲れ」

「疲れたよー」
そう言いながら、同じく仕事を定時で切り上げた理香が車に乗り込んできた。
平日に二人で定時に帰るなんて初めてじゃないか?
それぐらい今日は仕事にならなかった。

「もう無理…」
理香は車のシートに身を預け、目を閉じる。

「理香、どこに寄っ───」

ん?
寝息?
理香は目を閉じたまま、規則正しい寝息を立ていて。

無理させてるよな。
理香を起こさないように、そっと頭を撫でる。

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