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嫌なのに……
第8章 通勤電車
カタンカタン…
窮屈ではないが、それなりに混んでいる。
電車の振動に揺られ軽く周りの人にぶつかりながらぼんやりと窓の外を見ていた。
ん?
何かが触れた気がした。
後ろの人の荷物だろうか?
ひた…ひた…
揺れに合わせて何かがお尻に触れる。
亜海は鞄か何かだろうと気にしなかった。
それは突然ピタリと張り付いた。
『えっ?!』
それがゆっくりと亜海の臀部を上下した時、初めてそれが人の手であることに気づいた。
痴漢!その言葉が頭に浮かぶと、亜海の体が硬直した。
声も出ない。体が震える。
過去の恐怖が見えない鎖となって亜海を縛りあげていた。
手は10分程亜海を撫で回して…消えた。