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嫌なのに……
第5章 花狩り
亜海が声をかける前に、誠が亜海に気づいた。
え…名前、覚えててくれてた?
誠の笑顔に亜海の心がドクンと跳ねる。
携帯をポケットに仕舞いながら、近づいてくる誠に、深々と頭を下げながら
「あのっ、あの時はありがとうございました!」
叫ぶように何とかそう言うと、声の大きさと誠に会えた恥ずかしさに、亜海はなかなか頭を上げられなかった。
ぽんっと誠が亜海の頭に手を乗せる。
「心配してたけど思ったより元気そうでよかったw」
わしゃわしゃと髪を掻き乱され、思わず頭を上げると、誠が悪戯っ子のようににやっと笑う。
「ぷぷっ、ヒデー頭!w」
「!酷いです、これは誠さんが…!」
悪い悪い、と言いながら笑う誠に、髪を直しながら嬉しい気持ちでいっぱいだった。
この人は人を和ませてくれる…
男が苦手な自分がこんなに自然に話せるなんて…
甘酸っぱい想いが、亜海の胸に広がってゆく。