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写性 …SHASEI…
第11章 柊
「お父様、この花なあに?」

金木犀の香りがたちこめるようになってから、沙絵は花木にも興味を示すようになった。

「それは柊(ひいらぎ)だよ。」

枝先に鈴なりにつく小さな白い花、あまり目立たないが、良くみれば可愛らしい花が沢山ついている。

「可愛いいお花ね。」

沙絵っ…

痛いっ…

「ああ…大丈夫?」

沙絵が思わず手を伸ばし、葉に触れてしまう。

う…ん

葉を1枚とって手のひらにのせてやる。

「ほら、葉っぱがとげとげになってるから、気をつけないといけないんだよ。」

ふぅん…

指からプツッと血が出ていたので沙絵の指を舐めた。

「でもね。こうやって、そっと持って吹いて遊んだり出来るんだよ。」

親指と人差し指でトゲの部分を持ち、息をかけると、風車のようにクルクルと回る。

「やってみたい。」

沙絵に葉をとってあげると、慎重に持って吹いていた。

「赤い実がついて、クリスマスリースを作ったり出来るんだよ。」

「クリスマスリース?」

「玄関に葉で作った輪を飾るのだよ。」

「作ってみたい。」

「花がね、真っ赤な実に変わってからになるけどね。」

「うん。この小さな花が1つずつ実になるの?」

「そうだよ。」

「可愛いくて素敵になるね。」
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