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写性 …SHASEI…
第15章 沈丁花
椅子に座らされ、あの女の人がお化粧をするという。顔に沢山塗られ、口紅というのもした。

髪もアップにして飾りをいくつかつけられた。

「ますます可愛いくなったわね。モデルさんとかなれるわよ。」

女の人は嬉しそうにしていたけど、私は匂いのことで頭がいっぱいだ。

連れられてアトリエに戻る。男の人が明かりをつけて何か機械の準備をしていた。

「さあ、お嬢さん、沙絵ちゃん、ここに立って?」

床に敷かれた緑の布に立たされる。

手や足の位置、体の向きなどを指示されてポーズを取った。

カシャカシャと音がする。

「おじさん、それなあに?」

「カメラだよ。沙絵ちゃんのお写真撮るんだよ。はい笑って…」

カシャカシャ…

お父様がいつもの白い着物でなく紺の着物を着ていた。

「お父様も一緒がいい。」

「沙絵ちゃん、もう1枚撮らせて…」

カシャカシャ…

それからお父様と並んで撮る。

「次はお庭で撮るよ。」

おじさんが機械を庭にセットする間、私達はアトリエで待っていた。

「沙絵、疲れてない?」

「大丈夫だけど、あの女の人臭い。」

「あはは、シー、香水をつけてるんだよ。少し匂いがきついね。でも内緒だよ。」

「うん」
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