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第21章 猫

朝食の時、お父様に覗きに来ないようにと言われた。
私はわかったという表情はしたけど、声に出しては答えなかった。

人の秘密を知ることは蜜の味…
お父様があの人にする酷い仕打ち…
それに喜ぶあの人の声、

聞いているだけでｽﾞｸﾘが味わえるのだから。

午前中は集中して勉強を済ませる。昼食はますます会話がなくなっていく。


あの人は奥さんだから、お父様と結婚できない。
だから、夕方になれば帰っていく。

お父様に嫌われないようにすれば、お父様があの人のものになってしまうことはない。


｢沙絵、奥から出てアトリエのほうに来ちゃいけないよ。｣

私は席を立ち食器を下げた。

自室に戻り勉強をする。
あの人が来てアトリエにいき、二人が愛し合うのに没頭するまで、ワクワクしながら待つ。


その時が来て、私は静かに衣装部屋に向かう。

ちょうど授業で音を習い、コップを当てると良く聞こえるとわかり用意していった。

壁にコップをつけると確かに良く聞こえる。

ﾋﾟｼﾝ…ﾋﾟｼﾝ…

ふぁああ…嘘をついてごめんなさい…縛られるの好きです…ごめんなさい…もっとぶってぇ…