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第32章 昇華

｢こんにちは、お邪魔します。｣

｢ただいま〜｣

｢お帰り〜しょう君ようこそ〜｣

Shouを引っ張って応接間に連れていく。

｢ほら見て｣

｢すげぇ綺麗な花だなぁ〜｣

｢薔薇よ。薔薇の名前も知らないの？｣

｢あ…あぁ｣

｢この写真はね。初めて現像も自分でやったお気に入りの１枚なのよ。
だからいただいた写真立てに飾ってるの。｣

｢あ、ありがと…｣

｢変なShou、別にお礼いうところじゃないじゃない。｣

｢え…あ…そう？
ちゃんと使ってもらえて嬉しいじゃん。｣

｢ふぅん。それでね。他の写真がこれ。｣

｢ねぇ、何でこれは失敗なの？｣

Shouはこないだと同じようなことを聞く。

｢だって現像で失敗したから、｣

薬の配合の加減で色が思ったほど出ていなかったのだ。

｢でも、これ素敵だよ。
成功のアルバムに移しなよ。｣

Shouのアドバイスをヒントに、私はわざとピントをずらしたり、採光を絞る、ぼかす、
また現像での処理で操作して、
ただ写すのでなく仕上がりとしての芸術性を追求することを覚えたのだ。


｢さて、ケーキの用意が出来たよ。｣

お父様がケーキサーバーを運んでくる。

銀のドームカバーが掛けられていた。