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写性 …SHASEI…
第38章 羽化
素直に応援する気分にはなれなかった。

自分が知らない国に、沙絵一人で行かせるなんて考えられない。

自分と離れたいなら、日本でもいいだろうに…


沙絵のあまりにも奇抜な考えに追い付いていけなかった。


外の世界を知らせずに二人きりの世界に住まわせたのがいけなかったのだろうか。


黒塀の外に飛び出した時に、ゆくゆくは就職なり、結婚で、この屋敷を出ていく日が来るだろうとは思っていたけど、
まさか、こんなに早くに言い出すとは思ってなかった。


沙絵は一応話を聞いてと相談のように行ってきたが、
その決断は強く、きっと反対しても、行ってしまうのだろう。

今まで張りつめていた気が緩んだのか、僕は風邪をひいてしまった。


「沙絵、僕は大丈夫だから学校に行って…」

「熱があって大丈夫じゃないわよ。」

「でも学校には行かなくちゃ。」

「大丈夫よ。お父様だって自分のことそっちのけで看病してくれたじゃない。

アメリカに行ったら看病できないんだから、今は看病させて…」

「すまない。」

「ほら、ちゃんと眠って…」
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