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写性 …SHASEI…
第38章 羽化
ママ…
いずみさん、私もあなたをお母様と呼びたかったよ。

寂しくて不安で思わず足が向いていたのに…

私たちはあれから一生懸命生きてきたのに…

あなたは、子供を育てて幸せに暮らしていたのね…

あれほど愛し合っていたのに、お父様のことはもう忘れたの?

お父様は、まだあなたのことを思っているのよ。


不安と懐かしさが一気に消えて、憎しみに変わる。

自分だけ幸せになるなんて許せない。


いずみさん家の庭は、朝顔の鉢を置いた雨の日と違って、明るく感じた。

二人が屋敷を通りすぎる頃を見計らって、ゆっくり向きを変え屋敷に戻った。

お父様は薬の効果か熟睡していてほっとした。


実くん…

何が実ったんだろう。ご主人との愛?

病気のお父様には言えない。私は一人でぐちゃぐちゃと考えた。


あの日からすぐに…
妊娠?

お父様への愛は嘘だったの?




お父様は夜には更に熱があがる。
とても一人で置いておけなくて、一緒に眠った。

お父様は、私が大きくなったからと言うけど、
私にはお父様が小さくなったように思う。

病気で寝込んでいるから、余計に小さく儚く見えた。
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