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写性 …SHASEI…
第38章 羽化
「ん………ないで…」

「………かないで…」

真夜中にお父様がうなされる。

「…いか…ないで…」


いずみさん、もしくはお母様を追いかけているのだろうか…

手が伸びて、何かを探している。

私は黙って手を繋ぐ。

「行かないで…沙絵…」

グイッと手を引っ張られ、ギュウッと抱き締められる。


お父様は目を閉じていて眠ったままだ。


私?私を探してたの?

いずみさんでもお母様でもなく、私の名前が呼ばれて嬉しかった。

でも、それがアメリカ行きのことだと思うと苦しかった。


どうしよう、答えられない…

私は黙ってお父様に身を擦り寄せ、お父様の腕の力が抜けるまで、じっとしていた。

お父様…ごめんなさい…私のやりたいことを…許してください…

心の中で念じながら眠った。




「おはよう…お腹すいた。」

お父様が子供みたい。

「ご飯作るね。」

お粥と焼き魚と卵焼き、お父様がしてくれたとおりにする。

手の込んだ料理より、病気の時に食べさせてもらった料理の方が美味しく覚えているのは何故だろう。

「沙絵、今日も学校休ませちゃったね。」

「いいのよ。お父様、夜凄く熱が高かったもの…」
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