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写性 …SHASEI…
第38章 羽化
「沙絵、ごめん。昨日無意識のうちに色々言ってたと思う。ごめん、気にしないで…」


いずみさんのこと?私のこと?

「覚えてるの?」

「いや、なんか言っちゃいけないことを言ったような気がするだけ…」

「私の名前を呼んでただけよ。大丈夫。」


言っちゃいけないこと、お父様はアメリカ行きを止めちゃいけないとは思ってるんだ。

一年間、ゆっくり納得してもらいたい。

「卵焼きだけは沙絵のが上手だね。」

「お父様、他はダメって聞こえるわ。」

「いや、そうじゃなくて、卵焼きは絶対沙絵に勝てないな。だね。」

「そうね。お父様の卵焼きだけは男の料理って感じだもの。」

「あははっ…しっかり治して明日は沙絵が学校に行けるようにするね。」


二人きりの生活、やはり、互いに傷つけないように意識してしまう。


お父様を一人にしてしまうのは不安だ。
いずみさん…あなたの心にお父様はいますか?


アメリカ行きのことは話題にしないようにした。

私だって、お父様のことを考えたら悩む、
昨日お父様に抱き締められて思った。

やっぱりお父様は好き、それが男女の好きか、お父様だから好きなのかはわからないけど。


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