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写性 …SHASEI…
第38章 羽化
お父様が眠る日中に買い物に出かける。
果物をお父様に食べさせたい。


あ、まただ…学校にいる時間だから、今まで会わなかったのか…

「ママ〜遠足楽しかったよ。」

向こうから実くんといずみさんが手を繋いでやってくる。

こっちはこんなにドキドキしているのに、いずみさんはまた実くんばかり見ている。

私の存在なんて忘れてしまったのだろうか…
手を繋いでもらっている実くんが羨ましくなった。

すれ違う時も、いずみさんはこちらを見向きもしなかった。


嬉しそうに手を引く実くんを見て、ふと思う。
お父様に似ている?

ご主人を知らないからわからないけど、お父様に似ている気がした。

いずみさんが屋敷に来ていた時期、確かにご主人とは不仲だったと言ってたはず、もし、実くんがお父様の子供だったら、

時期的には納得がいく。
お父様の元にくる勇気がなくて、実くんの為にご主人との生活を選んだのだとしたら…

本当はお父様への思いはあるけど、実くんの為に家族という型に収まっているのだったら…

まだお父様のことを思っているかもしれない。

自分も実くんのようにしてもらいたかった。
憎しみと愛して欲しいという思いがドロドロと絡まっていった。
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