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写性 …SHASEI…
第40章 薔薇の絵
沙絵に写真を撮る時、本人に許可を得ることを改めて注意した。

「お父様、日本はそれが面倒だから、それで私はアメリカに行くのよ。

写真の勉強もするけど、アメリカは自由の国、そこに私の撮りたいもの、表現したいことがあると思うの。
だから、それを探しに行くのよ。」

「沙絵、アメリカだから問題にならないという訳じゃないよね。」

「うん、わかってる、気をつけるわ。」

「それでいずみにはアメリカ行きのことはいつ話すの?」

「話さないで、手紙を描くわ。」

「それじゃ寂しいんじゃないか?」

「私が?寂しくないわよ。」

「いや、いずみだって寂しがるよ。」

「そんなことないわよ。お父様がいればいいじゃない。」


僕が足りないから情の薄い子になってしまったんじゃなかろうか。

出発に向けて不安になるばかりだった。


「お父様、その絵、門に飾るの?」

「いや、何も考えてないよ。」

「じゃあ、飾って。
それと、私の写真のスペースにもカーテンを着けて。」

「ああ、わかった。」

「ちょっと庭に出てるわね。薔薇と夏ミカンのジャムを作るわ。」

入れ違いに沙絵は出てしまう。何となく肩透かしをくらっているようだった。
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