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写性 …SHASEI…
第40章 薔薇の絵
「忘れてるのね。あははははははっ」

気づかずにまだ進むいずみさん。

グンッ…ジャリッ…

うぁ…

手元のリードを引いて教えてあげた。

「首輪をつけてリードは私が持ってるってこと、
忘れてたのね。」

繋がれていたことを思い知らされたいずみさんの顔が面白かった。

「いずみさん、戻ってきなさい。」

「嫌です。」

「どうして?」

「理由などありません。」

「お父様、抱えてきて、傷つけちゃ駄目なんでしょう?」

逃げ出したいいずみも、また逃げようとするいずみを見る沙絵も辛いと思う。

そして、僕もいずみを引き留めたかった。
沙絵がどうしたいのかは、まだわからないが沙絵と一緒にいられるのは、あと少しだ。
沙絵があの日を違う形で乗り越えて、本当に欲しいものを見つける旅立ちを見送って欲しい。


僕は沙絵の命令通り、いずみを横から犬を抱えるように上体の下に手を通した。
屈みながらいずみにだけ聞こえるように囁いた。

「僕には貴女が必要だから」


いずみは聞き取ったようで素直に抱えられる、僕はそのままソファーに連れ戻した。

いずみの様子はソファーに突っ伏していてわからない。


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