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写性 …SHASEI…
第43章 卒業記念
「お父様、時間もないし、楽なポーズだから続けて…」

いずみさんが涙しているのには気づいていた。
今までどんなに酷い仕打ちをしても、直接泣くことはなかったいずみさん。

お父様に絵を描いてもらうこと、
それがどれだけ二人にとって大事なことなのかを改めて感じた。

私だって奪われた。
8年前に、
同じように、
お父様との二人きりの世界で、私だけに許されたことだと思っていたことを全て奪われたのだ。

ようやく復讐が終わる。
8年前の私がしたかった復讐が…

「わかった。辛くなったら言うんだよ。」

「大丈夫よ。」

会話の間も沙絵さんはワタシを見ない。

自分で此所に置いたのに、そこまで忘れさることが出来るだろうか。

ワタシは人形か何かのように、生きていることすら忘れさられてないだろうか。

休憩がなかったのは良かったのかもしれない。
沙絵さんが想像通り先生に近づき、二人が抱き合うのを見なくて済んだのだから…

先生が絵の具を取り色を作る。色合わせもなくベースの何色かが作られる。

休憩があった方が良かったのだろうか。

何とか言い訳を作り、此処から立ち去ればいいのだから…

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