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写性 …SHASEI…
第45章 旅立ち
もしかしたら口下手なお父様が話す時間を持ちたくて、最後のコラボ作品のお願いをしてきたのではないかとすら思った。

私はどの質問にも、もう十分よ、と答えるばかりだった。

薔薇を撮る中で、絵を描くお父様もカメラに収めた。
どのお父様も大好きだけど、やはり絵を描く姿が一番楽しそうで素敵だった。

「お祖父様のお屋敷の窓から見えた沙絵が一番強烈だったな。」

「そうね。いきなり叱られて、強く抱き締められて、温かくて…

それがお父様の一番の印象だったわ。」


「そろそろお茶にしないか?紅茶にしよう。カップは3つ用意してくれないか。」

「なんで?」

「もうすぐだから…」

紅茶の支度をして庭に出るとお父様がもう道具を片付けていた。

お父様が屋敷に戻ってしまう。

ドンドンドン…
ドンドンドン…

木戸を強く叩く音がする。

カチャッ…

お父様が中で応答したのか門が開いた。荒々しい足音が聞こえる。


誰?

「沙絵っ…」

「翔…」

「おっ、ちょうど良かったね。お茶にしよう。」

「翔、また大きくなったね。寮、軟禁状態じゃなかったの?サッカーは?」

「おじさんから聞いたんだ。アメリカに行くこと。
そしてお誕生日おめでとう。」
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