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写性 …SHASEI…
第46章 出会い
ボブが励ましの声かけをするところによれば、1週間後に式を控えていて、今日仕上げないと腫れの引きが間に合わないとのこと、

動いてしまうと針がさせないので、あまりに痛がると休憩を入れて冷やす。

刺されたところは血が滲んで腫れ上がり痛々しい。

「うっ…くぅぅ…」

刻まれる名を呼んで懸命に堪える姿にズクリとした。


ボブの表情は真剣で、レストランでのオーナーやジョンの弄られ役の時のイメージはない。

2回刺した後に消毒綿を当てる時は、お客さんを労り愛するような瞳を投げかける。

その姿にもゾクリとした。

私の頭に、鼠径部にお父様が残した噛み痕が浮かぶ。
曼珠沙華を思わせる赤い痕。

私を育ててくれたお父様、愛を教えてくれたいずみさんのイニシャルをそこに、曼珠沙華で作ったハートの周りに彫りたい。
映像が浮かぶ。


「ボブ、紙と描くものを貸して…」

浮かんだままを紙に書き留めていった。


お客さんはなんとか最後の文字を堪えて、抗生剤と痛み止めを飲み、ベッドで休んでいた。

「ボブ、私もタトゥーを入れて欲しい。」

書き上げた図案をボブに見せる。

「これをどこに入れる?」

「ここに…」

私は立ち上がり場所を示した。
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