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第48章 自慰

私が印刷でなく、写真らしさにこだわっていることを知り、トムは同時に個展を開き、現像してパネルにし、写真そのものを展示すること、本の購入者のみ、個展を見ることが出来るようにすることを提案してきた。

正直、どんなに光沢紙を使っても、印刷すればそれは写真でないこと、
そして現像して焼き付けをすることにも、技術の見せ場があることを
トムが理解してくれているのが嬉しかった。

装丁の手間からコストと掲載枚数の少なさに、割高感を覚える人も、個展のチケット分のプレミアがついていれば、購買力に繋がるというのだ。

こうして、残るは掲載順序の構成部分を練るだけとなる。

表紙は片目の女王の『I』『愛』
次は背面の『self』『自撮』
次にアメリカに『立つ』『stand』
『walk』の『歩く』

までは決まっていた。

『stay』『jump』『eat』『love』の順番が決まらない。

トムが、

｢ここで編集の腕の見せ場だな。｣

と、『eat』『stay』『love』『jump』の順だと言う。露出具合と一番のメインの『love』を終わりにせずに、『jump』をラストにすることで、日本がルーツであることを遡って伝えるのと、『jump』の先をみたいと期待させる効果があるというのだ。