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写性 …SHASEI…
第49章 出産
「ボブ、もう見飽きたんじゃない?」

私はふざけて『I』のポーズを取る。

「飽きないよ。本物はなおさらっ」

あははっ…

私達はめいめいページをめくって作品を見ていった。

「ねぇSae、ここにサインをちょうだい?」

ジョンが最後の和紙を示して言う。

「サイン?」

「日本にはそういう習慣ないの?本の作者に会えたら本にサインをもらうって…」

「あ、あるけど…」

「作品を汚しちゃうから嫌?」

「ううん。サインなんて…
練習しなきゃ。」

「いいよ、そのままで。書いて?」

「僕も…」

ペンを渡されて、緊張しながらサインした。

二人は写真たてのようなディスプレイ用の本立てを買っていて、リビングと寝室に飾るという。

「これで家に帰ればいつでもSaeと一緒に居られるね。」

なんだか分身が出来たみたいだった。

「やっぱり恥ずかしいかも…」

「え〜、出版取り止めてもらう?」

「いいえ、二人が本を凄く大事にしてくれるから…」

「恥ずかしいじゃなくて、照れくさいんだろ?」

「う…ん…」

「そのうち慣れるさ、でも、慣れすぎて当たり前になっちゃダメだよ。」

「そうだよ。『初心忘れべからず』だっけ?」

「今のピュアな気持ちを大事にしなきゃね。」
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