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第49章 出産

そのジョンの弱点が妹、孤児院まで一緒だったが、持病を拗らせて命を落とした妹だった。

彼を万能優秀なﾏｼｰﾝにした原動力でありながら、アキレスの腱ともなる存在。
妹を思い出す何かが起こるとﾏｼｰﾝは機能停止になる。

僕たちはカウンセリングに通い、ジョンの弱点の克服と人間味を取り戻すことに時間を費やした。

今から思えば、それは愛情の始まりだったのかもしれない。

当時恋人がいた俺は、それが性別を越えた恋愛になるとは思わず、
ジョンが纏う表面的な雰囲気が、妹の死により眠らされた彼の本質であると確信していたこの感情を、友情だと思っていた。

湯に浸けてふやかした薄皮を撫でて剥いていくような、彼のトラウマを取り除く治療が進むなかで、共に挑む保証人になった。

進んでは戻りを繰り返し、全く先の見えない治療に、苛立つジョンより当事者として付き添った。

カウンセリングに付き合い、反動で起こる浮き沈みにジョンと共にいることを、僕は恋人よりも優先させた。
むろん恋人に嫉妬され、よく喧嘩にもなった。

ようやく、ジョンの状態は少しずつ進み、戻ることがなくなってきたと実感できるようになるまでに、三年間、大学生活の半分を費やした。