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写性 …SHASEI…
第2章 生い立ち

ある時、椅子を窓際に置いて見ていたら、塀の向こうにその人の頭が見えた。
椅子に立ったら、もっと見えた。
「お父様…」
優しそうな人だった。
私はその人の名前を知らないので、つい、そう呼んでいた。
お祖母様のお手伝いさんが、私のお世話をしてくれていた。
「ねぇ、毎日くるあの人、何を持って来るの?」
「お嬢様、ご存知でいらしたんですね。」
「ねぇ、教えて…」
「お人形やお花やケーキをお嬢様にと…」
「私に?」
「あ、いえ…あの…」
「大丈夫よ。あの人が私に会いに来てるのも、名付け親だってこともお祖母様から聞いてるから…」
「あ…旦那様に叱られてしまいます。」
「ねぇ、お花やケーキはもらってもわからないわ。
お祖父様いないんだし、
明日から受け取って、もったいないわ。」
「でも…」
「私のお世話をするために来たんでしょう?あなた、私の言うことが聞けないの?」
「あ…でも…」
「命令よ。形に残らないものは、受け取りなさい。
そうしないと、あなたが居られないようにするわよ。」
思えばこれが私の最初の命令だった。
「わ、わかりました。」
椅子に立ったら、もっと見えた。
「お父様…」
優しそうな人だった。
私はその人の名前を知らないので、つい、そう呼んでいた。
お祖母様のお手伝いさんが、私のお世話をしてくれていた。
「ねぇ、毎日くるあの人、何を持って来るの?」
「お嬢様、ご存知でいらしたんですね。」
「ねぇ、教えて…」
「お人形やお花やケーキをお嬢様にと…」
「私に?」
「あ、いえ…あの…」
「大丈夫よ。あの人が私に会いに来てるのも、名付け親だってこともお祖母様から聞いてるから…」
「あ…旦那様に叱られてしまいます。」
「ねぇ、お花やケーキはもらってもわからないわ。
お祖父様いないんだし、
明日から受け取って、もったいないわ。」
「でも…」
「私のお世話をするために来たんでしょう?あなた、私の言うことが聞けないの?」
「あ…でも…」
「命令よ。形に残らないものは、受け取りなさい。
そうしないと、あなたが居られないようにするわよ。」
思えばこれが私の最初の命令だった。
「わ、わかりました。」

