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スローバラードを君に
第2章 first love は突然に
その子はずっと無言だった。
俺も、何故か胸が一杯で何も言えずにただ後をついて歩いた。
十分程歩いて辿り着いたのは、代々木体育館だった。
今日は人気ロックバンド
『BEATS』のライヴが夜あるので、見にやって来た人々で会場周辺は賑わっている。
BEATSのシャツやキャップを被り、タオルを振り回して輪になり熱唱する若者、グッズを買い求める為に並ぶ者、ファンの集まりの様な物を開いている者達もいる。
体育館前の時計台の下の台にその子は登ると、ギターをケースから出して首から下げる。
俺は呆気に取られて見ていたが、良く見ると、その子の指が微かに震えていた。
「なに?あの子」
「何かやるつもりかな……」
「BEATSにあやかって自分を売り込もうって?
ムリムリ~」
「なんだ、カワイイじゃん」
「ど~せ顔だけでしょ」
周りの人々の呟きが聞こえて来る。

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