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痴漢脳小説 ~秋津高校サッカー部~
第7章 目指せ全国! 選手権予選開始!
「仲村は確かに全国クラスのゲームメーカーだろうね。でも彼は体が強くない。ぶつけられると脆いんだ。
 そこでヤス君」
「はいな」
「ヤス君のパワーで仲村を封じる。そうすればおのずと武蔵西武の攻撃は手詰まりになるはずさ」
「責任重大やな」

 言葉とは裏腹に早くもヤスは気合をみなぎらせている。

 その他、スタメンから控えまで、各選手のデータが揃っている。
 実はこの資料を揃えてくれたのは、何とつい数ヶ月前までサッカー初心者だった、マネージャーの美緒ちゃんだ。
 小久保の弱点に気付いたのも美緒ちゃんで、彼女は武蔵西武の試合に足を運んでは目を皿のようにしてじっくり相手を観察してくれていた。その時に撮影してくれたビデオは武蔵西武対策にとても役に立ってくれた。

 チームでの一人一人の役割から、チーム全体の戦術まで。
 美緒ちゃんが見た全てがその資料には記されていた。

「これはすごいや」
「ほんと、よく調べてあるね」

 俺はその資料に感心して、今まであったわだかまりを忘れて素直にありがとうが言えた。
 美緒ちゃんも笑ってくれた。

 そしてもうひとつ役に立ったものがあった。

 思い出したくもない、でも俺達にとって大きな分岐点となった、インターハイ予選準決勝のテレビ中継。
 俺の親も他の部員の家族も、息子の晴れ姿を張り切って録画していた。

 試合の結果はご存知のとおり、晴れ舞台ではなく土砂降りの雨舞台になってしまったが、相手の分析には役に立った。
 あの試合は武蔵西武の攻撃練習のような試合だった。だから攻撃パターンがいくつも記録されていた。うちのDFがどんなふうにやられたのかも。
 それをヒデと池内が分析し、美緒ちゃんが今現在のデータを持ち帰り、照らし合わせた結果が今、俺達の手元にある。

 守備の要、センターバックの七澤は高さと上手さがあるが、スピードに欠け裏のスペースへの対応にやや難がある。
 左サイドの永友は積極的に攻撃参加してくるが、クロスの精度がよくない。

 こっちの攻撃の形もこの分析で見えてきた。
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