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痴漢脳小説 ~秋津高校サッカー部~
第8章 準決勝 武蔵西武戦
「ヒデさんの言う通りでした」

 ハーフタイムにそう言ったのは、相手のエース小久保を抑えている、一年生DFの本多。

「右側から当たると中に入ってきません。後半も何とか守りきります」

 美緒ちゃん資料と池内分析によって見つけた小久保の弱点への対処方法をヒデは本多に伝えていた。
 右利きの小久保は左サイドから中に切れ込んでくる傾向が強く、シュートも右足で打ちたがる。
 だから小久保の右側から体をぶつければ苦手の左足でボールを扱わざるをえず、攻撃力は半減する。

 ボールを奪えないまでも、攻撃を止めることは出来るし、そうなれば数的優位の状況を作って相手を追い詰めればいい。

 個人の力では相手にはとても敵わない。だから常に数的優位を作る。一人に対して二人以上でチェックに行く。
 それにはひたすら走り続けなければいけない。そのために俺達はあの日、武蔵西武に負けた日以降、ずっと走り続けてきた。

 確かに個人の力では勝てない。だから仲間がいる。
 俺達は確かにヘタクソかもしれないが、それぞれが自分の武器をちゃんと持っている。

 俺達の戦い方が少しずつ、でも確実に武蔵西武にもダメージを与えているはずだ。

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