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痴漢脳小説 ~秋津高校サッカー部~
第8章 準決勝 武蔵西武戦
 その後もカウンターのチャンスが生まれた。
 攻撃の時間が増えると守備の負担が減り、守備が安定してきた。
 その分苛立つ武蔵西武。ますます攻撃のリズムが悪くなり、こちらにカウンターのチャンスがまた生まれる。
 強引な小久保の突破は井口が止め、焦り始めた永友のクロスは精度を欠き、そんな中で司令塔、仲村のパスにも少しずつミスが見えるようになってきた。

 しかしこちらも相手の守備の最後の最後を崩すことが出来ず、同点弾はまだ生まれていない。

 ボールがサイドラインの外に出た時、ヒデが俺に近付いてきた。

「ゾノ」
「おう」

 交わした言葉はこれだけ。それだけでヒデは頷いて離れていった。

 もちろん、俺にもヒデの言おうとしたことは分かっている。
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