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痴漢脳小説 ~秋津高校サッカー部~
第2章 サッカー部快進撃! からの…
 溜め息の気持ちは痛いほど分かる。美緒ちゃんがこっちを見ていなかったら俺だって盛大に溜め息をつきたいところだ。

 だってさ、みんな夢見てたんだぜ。可愛い女子マネージャーとのラブラブ生活を。
 直球で言えば、美緒ちゃんと付き合いたかった。みんなそのチャンスを狙っていたんだ。

 付き合えたら毎日メール交換とかして、学校の行き帰りを一緒にしちゃったりして、そんで日曜日にはデートなんかして、気持ちの盛り上がった二人は…

 なんてことを期待してたんだ。期待っていうか妄想してたんだ。

 でも。

 美緒ちゃんの鞄。パンパンに膨らんでいる。
 俺から借りたサッカー雑誌がぎっしり詰まっている。

 彼女は一生懸命なんだ。
 その好きな男子に対して。そして、俺達サッカー部に対しても。

 今日の試合、美緒ちゃんはずっと声を出してくれていた。
 後半になって中井君が交代して、みんな疲れて足が止まりそうだった時、その声が背中を押してくれたのは間違いない。

 押された背中が初勝利を目指すサッカー部員としてのものだったか、美少女との妄想をたくましくした少年のものだったかは、まあとりあえず置いておこう。

 今だってマネージャーとして雑用やマヨネーズ運びを嫌な顔ひとつせず、むしろ楽しそうにやってくれている。

 俺の部屋からごっそり持っていったサッカー雑誌。初心者向けのトレーニングブックまで鞄に詰め込んでいた。

 美緒ちゃんがサッカー部のマネージャーになってくれた理由は俺達にとって残念なものだったけど、それでも彼女の存在はきっと、もっともっと大きな力になってくれる。

 サッカーの天才、中井君。
 美少女マネージャー、美緒ちゃん。

 このふたつの新たな力を手に入れて、秋高サッカー部は誰も予想しなかった快進撃を演じることになった。
 西部支部予選を突破し、県大会、つまりインターハイ埼玉県予選へと駒を進めた。
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