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痴漢脳小説 ~秋津高校サッカー部~
第3章 蘇れ、サッカー部!
 今まではDF四人、MF四人、FW二人の4-4-2のフォーメーション。
 攻撃の形としてはツートップの二人とトップ下の俺が中心となる。

 ヒデが示した新しいフォーメーションは5-4-1。

 FWはヤマのワントップ。
 
 一列下がって攻撃的MFに左からオカ、ヒデ、そして右に俺。
 守備的MF・ボランチにヤス。

 DFには左に津奈木、センターバックに守備の要の井口と、その前にタモツと守備職人的な一年生、本多が並ぶ。そしてMFからコンバートされた北村が右サイド。

 GKは変わらずドラゴン松茂。


「俺がボランチ?」

 真っ先に声を上げたのはヤス。突然ワントップに指名されたヤマも声こそ出さないもののヤスに同調している。

「うん。ヤス君にはボランチがいちばん向いていると思う」
「何でや?」

 ヤスにはずっとFWをやってきた、というプライドがある。
 
 そのヤスがボランチに向いているという理由とは?
 みんながヒデに説明を求めた。

「さっき言ってたでしょう、グラウンド全体が見えるって。それは左右にボールを散らし、攻撃の起点になるボランチに不可欠な能力だ」

 守備的MFといっても守っていればいいわけじゃない。
 一人の選手、ひとつのポジションに複数の仕事を要求する現代サッカーでは攻撃の起点として前線へボールを供給しなくてはならない。

 それにはグラウンド全体を見渡す広い視野が必要になる。
 ヤスはそれを持っている、とヒデは言う。

「オカ君はスピードがある。ヤマ君は相手の裏へ飛び出すタイミングがいい。
 ヤス君からのパスを受けたオカ君がスピードでサイドを突破出来ればヤマ君ならゴール前でフリーでボールを受けられる」
「まあな。その戦術は理解出来る。けどワントップってのはな」

 FWといってもヤマはセンターFWではなく「セカンドトップ」「シャドーストライカー」と言われるようなタイプ。
 大きな体を活かしてゴール前に張り付きポストプレイと空中戦を得意とするヤスのようなタイプとは違うFWだ。
 
 細かく動き回って空いているスペースに飛び込む。ヤスが落としたボールを確実に拾う。サイドに流れてセンタリングをあげる。

 それがヤマのプレイだった。
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