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痴漢脳小説 ~秋津高校サッカー部~
第3章 蘇れ、サッカー部!
 路上で痴漢をする場合、気をつけなければいけないのは周囲の目だ。
 十分に確認したつもりでも、曲がり角や建物の中から急に人が出てくることがある。女の子の背後に潜んでいる自分を怪しんで近寄ろうとする人がいる。

 そういう人は真っ直ぐにこっちを見ている。

 サッカーでも同じ。

 カウンター攻撃に合わせて走って戻るDFはボールの位置だけではなく、他の相手FWやゴールとの位置関係にも気を配らなければいけない。
 だけど味方のDFが間に合わなければ自分でボールホルダーへチェックに行くしかない。いつまでも自由にボールを持たせておくわけにはいかないからだ。

 周りに気を配っていたDFが自分に集中した瞬間、自分に向かって来る直前には必ずこちらに視線を送る。
 
 その瞬間を逃してはいけない。

 その瞬間にパスを出されるとDFは反応が遅れる。
 
 オカはヒデからクロスのタイミングをそう教えられていた。

 その教えのとおり、相手DFが自分に注意を向け一歩を踏み出した瞬間に、オカはヤマへのパスを出した。
 重心を乗せた軸足とは逆に進むボールに、相手DFは触ることが出来なかった。

 フリーで走り込むヤマがボールを受ける。そして右足一閃!

 ボールはゴールネットに突き刺さった。
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