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痴漢脳小説 ~秋津高校サッカー部~
第4章 男子の夏
無口な男、GK『ドラゴン』松茂竜彦。
毎朝のランニングが日課になっている。他のポジションと比べ運動量の少ないGKとはいえ体力は重要だ。
体力が尽きれば集中力も切れる。一瞬の判断が要求されるGKとって集中を切らさないことこそが最大の課題だ。
そのためのランニングだ。決して不純な目的があってのことではない。
線路沿いを走る松茂の正面、まだ遠いがこちらに向かって歩みを進める人影が見える。
来た…
松茂は走るスピードを上げた。みるみる距離が縮まっていく。
小さな人影は女性の形になり、さらに近付けば大学生くらいのショートカットの爽やかな女性の姿になった。
犬を連れている。
この線路沿いの長い直線の道路は、松茂のランニングコースで女性の犬の散歩コースだった。
「おはよ」
女性が声をかけてくる。名前も知らない。
ボキャブラリーが少なく人見知りの松茂は、硬派の仮面をかぶって世界と向き合っていた。
そんな松茂の最大の特技は、犬にやたらと好かれることだった。松茂も自分のキャラクターに似合わないと自覚はしつつ、犬や猫が大好きだった。
しゃべらなくてもいいから犬や猫の相手は楽だったし、柔らかい毛並みは気持ちを落ち着かせてくれる。
最初はランニング中、解けた靴紐を結びなおすために足を止めた松茂に、女性の犬が尻尾をちぎれるほど振りながら飛びついてきた。
それが出会いだった。
犬はぶんぶんと尻尾を振り、ぺろぺろと顔を舐めてくる。
目の前に見える犬の顔のアップの後ろから慌てたような顔の女性が近付いてきたが、松茂が嫌がっていない様子を見て、安心したような笑顔を見せた。
それがきっかけで話をするようになり、今では会えば一言二言話をし、犬をひとしきり撫でさせてもらっている。
とはいえ無口と無愛想と人見知りを標準装備している松茂は、犬と戯れてばかりで未だに名前すら聞けていない。なのに、犬の名前が『ゴン』であることは知っている。
いつも相手の質問に言葉少なく答えるので精一杯だった。
それでも相手は松茂がサッカー部員であることを知ってくれた。
毎朝のランニングが日課になっている。他のポジションと比べ運動量の少ないGKとはいえ体力は重要だ。
体力が尽きれば集中力も切れる。一瞬の判断が要求されるGKとって集中を切らさないことこそが最大の課題だ。
そのためのランニングだ。決して不純な目的があってのことではない。
線路沿いを走る松茂の正面、まだ遠いがこちらに向かって歩みを進める人影が見える。
来た…
松茂は走るスピードを上げた。みるみる距離が縮まっていく。
小さな人影は女性の形になり、さらに近付けば大学生くらいのショートカットの爽やかな女性の姿になった。
犬を連れている。
この線路沿いの長い直線の道路は、松茂のランニングコースで女性の犬の散歩コースだった。
「おはよ」
女性が声をかけてくる。名前も知らない。
ボキャブラリーが少なく人見知りの松茂は、硬派の仮面をかぶって世界と向き合っていた。
そんな松茂の最大の特技は、犬にやたらと好かれることだった。松茂も自分のキャラクターに似合わないと自覚はしつつ、犬や猫が大好きだった。
しゃべらなくてもいいから犬や猫の相手は楽だったし、柔らかい毛並みは気持ちを落ち着かせてくれる。
最初はランニング中、解けた靴紐を結びなおすために足を止めた松茂に、女性の犬が尻尾をちぎれるほど振りながら飛びついてきた。
それが出会いだった。
犬はぶんぶんと尻尾を振り、ぺろぺろと顔を舐めてくる。
目の前に見える犬の顔のアップの後ろから慌てたような顔の女性が近付いてきたが、松茂が嫌がっていない様子を見て、安心したような笑顔を見せた。
それがきっかけで話をするようになり、今では会えば一言二言話をし、犬をひとしきり撫でさせてもらっている。
とはいえ無口と無愛想と人見知りを標準装備している松茂は、犬と戯れてばかりで未だに名前すら聞けていない。なのに、犬の名前が『ゴン』であることは知っている。
いつも相手の質問に言葉少なく答えるので精一杯だった。
それでも相手は松茂がサッカー部員であることを知ってくれた。