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痴漢脳小説 ~秋津高校サッカー部~
第4章 男子の夏
松木の家の押入れから、古い扇風機が出てきた。古いがちゃんと動く。
家では使わない。ならサッカー部の部室に持っていこう。部室には扇風機がひとつあるが、夏の部室はとにかく暑い。ひとつくらい扇風機が増えたところで、まさに焼け石に水だろうが、ないよりはマシなはずだ。
ここのところのサッカー部の評判は、顧問の松木の株も上げてくれた。
実際にはほとんど何もしていないのだが、なるほど運動部の顧問というのは、こういう時にはよく見てもらえるのだな、などと思っていた。
なので部員にお返し、というわけでもないが、これでもっと頑張ってくれるなら、それは松木にとってもプラスになる。
たまには冷たい飲み物でも差し入れしてあげよう。きっと扇風機も喜んでくれるだろう。
翌日、朝早く。部室に扇風機を持っていった。
グラウンドの隅にある部室のほうから、中井が歩いてくる。
「あ、先生。おはようございます」
「ああ、おはよう。暑いな」
「はい。その扇風機は? もしかして部室に?」
「うん。古い扇風機だけどね。ないよりかはいいかと思って」
「ありがとうございます。僕、数学の先生に呼ばれているので、申し訳ないですが部室に持っていってもらえますか? 今、加藤さんがいますから渡しておいて下さい」
中井も部室から出てきたはずだ。朝早く、まだ大半の生徒が登校していない部室で何を?
想像はつく。以前に偶然見た、あれだ。
松木はやや狼狽する。そんな松木の心中に気付かない足取りで、中井は校舎へ足を進めた。
家では使わない。ならサッカー部の部室に持っていこう。部室には扇風機がひとつあるが、夏の部室はとにかく暑い。ひとつくらい扇風機が増えたところで、まさに焼け石に水だろうが、ないよりはマシなはずだ。
ここのところのサッカー部の評判は、顧問の松木の株も上げてくれた。
実際にはほとんど何もしていないのだが、なるほど運動部の顧問というのは、こういう時にはよく見てもらえるのだな、などと思っていた。
なので部員にお返し、というわけでもないが、これでもっと頑張ってくれるなら、それは松木にとってもプラスになる。
たまには冷たい飲み物でも差し入れしてあげよう。きっと扇風機も喜んでくれるだろう。
翌日、朝早く。部室に扇風機を持っていった。
グラウンドの隅にある部室のほうから、中井が歩いてくる。
「あ、先生。おはようございます」
「ああ、おはよう。暑いな」
「はい。その扇風機は? もしかして部室に?」
「うん。古い扇風機だけどね。ないよりかはいいかと思って」
「ありがとうございます。僕、数学の先生に呼ばれているので、申し訳ないですが部室に持っていってもらえますか? 今、加藤さんがいますから渡しておいて下さい」
中井も部室から出てきたはずだ。朝早く、まだ大半の生徒が登校していない部室で何を?
想像はつく。以前に偶然見た、あれだ。
松木はやや狼狽する。そんな松木の心中に気付かない足取りで、中井は校舎へ足を進めた。