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面影
第8章 動き出す
『私ね、茉莉花を…
娘を心底恨んでいたの。
私の最愛の人を、その若さを
使って奪い、もう手の届かない所まで
連れて行ってしまったから。』
ポツリポツリと、莉花さんは
初対面の俺に。
俺が知りたかった事実を、
話してくれた。
『笑っちゃうでしょ?
茉莉花にも棗にも。取り返しの
つかないことをしてしまった。
でも私、事実が知れたから
やっと前に…
進める気がするの。
だから、
棗にも前を向いて欲しいから。
私は棗の前から消えるわ。』
そう言って微笑む莉花さんは、
母の顔をしていた。