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私の可愛い変態ペット
第4章 抗争演劇部
日向さんと八頭くんが両想いなのか、八頭くんの片思いなのか、それとも幼馴染の友情の好きなのか、実際のところを私は何も知らないし大して興味も無いのでどうでもいいのだけれど、常識の通じない八頭くんみたいなのにつきまとわれる大変さは解る気がする。
いわゆる、私にとっての白川だ。
好かれている分には嫌われるよりも良いけれど、それも加減ってものがある。
やり過ぎは立派なストーカーだ。
たとえば、朝っぱらから自室の中まで迎えに来るとか…。
「あらまぁ、それはわざわざありがとうね」
優しそうな声がインターフォン越しに答えた。
良かった、よく任侠映画に出てくる『姉さん』みたいな人じゃなくて…。
「奏恵さんにお伝え下さい。同じクラスの日下部柚子葉様と、その犬が迎えに上がりましたと…」
__ワンッ!!
その時、白川の抱いているトイプードルが勢いよく鳴いた。
「犬…?あぁ、小次郎くんね?貴方面白いわね、ふふふっ」
どうやら白川の変態発言は、小次郎くんのタイミングの良い鳴き声のおかげで、ユーモアに昇華されたらしい。
危なかった…。
日向さんのお母さんがちょっと天然入った人で助かった。
それにしても、やるな小次郎…。
白川よりもちゃんと空気が読めているじゃないか。
きゅるんとつぶらな瞳のトイプードルの小次郎くんに向けて、私は静かに感謝した。
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