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私の可愛い変態ペット
第4章 抗争演劇部

「はぁぁぁっ、見て下さい…柚子葉様っ!!」
やけに遠い所から白川の声がした。
ふと見ると、私の後ろについて来ていたはずの白川がいない。
「このチョコレート色のもふもふがぁっ…」
いつの間にやら白川が腕の中にトイプードルを抱えている。
しかもあろうことか、それは日向家の敷地の中での話だ。
あの鉄壁とも言える強面集団をどう抜いたのか知らないが、おそらく日向家の飼い犬なのだろう可愛らしいその子犬を見せながら、こっちに向かって大声で手を振っていた。
悪びれもせずに満面の笑顔だが、白川はその周囲の殺気に満ちた視線に気付いていないのだろうか?
「馬鹿かっ!!」
くそっ、白川め最悪の事態を招いてくれたな。
鋭い眼光で白川を睨んでから、その白川が手を振る先であるこちらへ向けて強面集団の首が一斉に振り向いた。
「げっ……」
小さく呻いた八頭くんが塀の影に身を隠すのと同時に、生贄とばかりに私を通りの見通しのいい場所に押し出した。
「ちょっと!!」
通りの真ん中で一身に強烈な殺気を浴びる事になってしまった。
どうしようこの事態…。
「ふかふかもふもふ…」
お気楽なニヤケ顔の白川が信じられない。
どういう鉄の心臓してんだ、アイツ!!
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