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第1章 闇の炉ビデオ 製作に至るまでの経緯

さらに母は喘息の向樹の前で平気でタバコを吸っていたため、彼の呼吸は一生涯に渡り、安定しなくなる。


さらに追い討ちをかける事件が起きてしまう。

父方に引き取られていた兄が母元に訪れると、兄は中卒で働いていなかった。

さらに当時キャッシング用カードでトランプができるほどの枚数を所持し、多大な借金を抱えていた。

父は借金苦(離婚の原因)で失踪し、父方の先祖代々の土地はこうして売却された。

父方の親戚からの追求を逃れる為に兄は母元を訪れ住み着くようになるが、借金取りが家の周りをうろつき、催促の電話をするようになる。
審査の段階で母方の住所と電話番号を記載していた為である。

向樹は約10年間、電話の音恐怖症になる。


当時は借金カードの審査が甘く、債権の売買譲渡も頻繁にあった。

兄は請求書が来ないイコール払わなくてもいいと思っていて、父が自己破産したことを理由に「お上(国)が借金を踏み倒すことを認めている」などと笑いながら語り借金を繰りかえした。

ほとんどがパチンコとスロットによって消えていた。

さらには中古の高給セダン・セルジオを購入し、向樹に「お前にこの車は買えない」と自慢していた。


もちろん、母が親戚の協力を経て女手一つで立てた一軒家も借金で無くなってしまう。

母が兄の保証人になっていたのである。
実際は兄が勝手に書いたのだが、母が否定すると兄は詐欺罪、契約書偽造罪で逮捕される。
詐欺罪は執行猶予なしでブタ箱行き確定であるため、母は息子の実刑を回避するため保証人を認めた。