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第1章 闇の炉ビデオ 製作に至るまでの経緯

母の築き上げた生活も崩壊した。

そして母は向樹に死亡保険が入るよう、偽装自殺をする。

雪の積もる深夜に車で出かけ、車のマフラーに雪を詰まらせ、一酸化炭素中毒で死亡したのである。

これは事故死に認定された。

そのときは既に沼田は大学生になっており、命と金について考えるようになった。

この経験から、施設育ちの少女には特に思い入れがあると思われる。



沼田は大学で心理を専行していたため、褒めるという重要性を理解していた。

大学時代に教習で免許を取得した際には、「悲惨な交通事故を減らすため」にと教習所の教官になる決意をし、積極的に皆が嫌がる暴走族系の少年少女の教習に自分を当ててほしいと熱望した。

その教習の中で一部の少女がお小遣い欲しさに『お触り』を持ちかけたのが援助交際のキッカケである。

母性の愛に餓えていた沼田は軽い気持ちで少女達に金銭を支払い抱擁させてもらうようになった。

少女達は年下であるが、「沼田はそうとう甘えてきた」と当時、援交していた女性は語る。