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クラス ×イト
第2章 だメンず 【乾英太1】
「ふふーん。藍山栞かあ」

 僕の視線を追って、要二はほくそ笑む。

「べ、別に――好きとかじゃ、なくて」

「隠すなって。それに――藍山なら、俺もわかる気がする。目立たないけど、何気にいい線いってるしな。女帝よか、よっぽど素養は上じゃねーのか」

 一体、何の素養なんだろ? したり顔で話す要二に、僕はふとそんな疑問を抱いた。

 僕の気持ちがどうなのかなんて、自分ですらはっきりとはわからない。そんな僕だから、さっき要二が言った言葉(繰り返さないけども)みたいなことは、まるで想像の外だった。

「ちょっと、気になるだけ。ホントに、それだけなんだ」

 僕がそう付け加えると――

「ふーん。ま、いいか」

 要二も何となく、了解してくれたみたいだ。


「――で、三生は?」

 続いて要二の追及は、三生へと向かう。でも――

「いや……僕はいない。そういうの、考えたこともないから……」

「ウソつけ。一人くらいいるはずだ」

「ウソじゃないよ。それに、僕がそんなこと考えても……無駄、でしょ?」

 三生は視線を床に落として、消え入りそうな声で言った。

 要二はその卑屈な態度に、少し苛立ち。

「チッ……そういう言い方、してんじゃねーよ。こっちまで、気が滅入るだろうが」

「ハハ、ごめんね……」

 三生は辛うじて、薄い笑みを返す。


「……」

 そんなやり取りを見れば、僕だってあまりいい気にはならない。それは――


 僕の些細なこの想いも、無駄なのかな……?


 ついそんな風に、考えてしまったからだろう。
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