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クラス ×イト
第5章 ほころビ 【乾英太2】
「じゃ、そろそろ――行ってこようかな」
そう言って、三生が席を立とうとするから。
「ちょ、ちょっと、待って!」
僕は慌てて、その腕を掴んだ。
もちろん、三生の意思は尊重してる。できれば応援だってしたいと思う。だけど、僕は不安で一杯だった。
今の三生は――例えるなら『無敵アイテム』を獲得したばかりの、ゲームのプレイヤーキャラみたいで。だけど一定時間が過ぎれば、その効果は儚くも消え去ってしまう。
悪いけどどう考えても、巧く事が進むとは思えない。もしそうなった時にショックを受けた三生が、今の様に超然としてるとは考えにくかった。寧ろ普通の状態に見えないからこそ、その反動を僕は心配してる。
僕自身が赤緒さんに抱いている、ある種の恐れ。僕が三生を止める理由は、それを色濃く内包した結果だ。
だけど、三生は――
「英太くんは、きっと思い違いをしてるんだね。ううん、英太くんだけじゃなくて、クラスの皆も同じ」
「どういう、意味?」
「赤緒さんと瀬山くんのこと――でも、僕からそれを言うことはできない。それは、僕と赤緒さん――二人だけの秘密だから」
「……」
それは恐らく、三生が教室で聞いてしまった話のことだろう。思い違いって、つまり二人は付き合ってない……?
秘密と言われている以上、僕からそれを問い質すことは流石にできなかった。だけど僕の知らないことを知った上で、そう言ってるいる三生であるのだから。
僕にはもう、三生を止める理由を見つけられなかった。
そう言って、三生が席を立とうとするから。
「ちょ、ちょっと、待って!」
僕は慌てて、その腕を掴んだ。
もちろん、三生の意思は尊重してる。できれば応援だってしたいと思う。だけど、僕は不安で一杯だった。
今の三生は――例えるなら『無敵アイテム』を獲得したばかりの、ゲームのプレイヤーキャラみたいで。だけど一定時間が過ぎれば、その効果は儚くも消え去ってしまう。
悪いけどどう考えても、巧く事が進むとは思えない。もしそうなった時にショックを受けた三生が、今の様に超然としてるとは考えにくかった。寧ろ普通の状態に見えないからこそ、その反動を僕は心配してる。
僕自身が赤緒さんに抱いている、ある種の恐れ。僕が三生を止める理由は、それを色濃く内包した結果だ。
だけど、三生は――
「英太くんは、きっと思い違いをしてるんだね。ううん、英太くんだけじゃなくて、クラスの皆も同じ」
「どういう、意味?」
「赤緒さんと瀬山くんのこと――でも、僕からそれを言うことはできない。それは、僕と赤緒さん――二人だけの秘密だから」
「……」
それは恐らく、三生が教室で聞いてしまった話のことだろう。思い違いって、つまり二人は付き合ってない……?
秘密と言われている以上、僕からそれを問い質すことは流石にできなかった。だけど僕の知らないことを知った上で、そう言ってるいる三生であるのだから。
僕にはもう、三生を止める理由を見つけられなかった。