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クラス ×イト
第5章 ほころビ 【乾英太2】
「じゃあ、ちょっと待ってて」
「あ――」
僕の手を振りほどき、三生が赤緒さんの方に向かって行く。その背中を見送りながら、たぶん僕の方がずっと緊張していたみたいで……。
うわっ……ホントに行く気だ。もう、目の前に……。あ、声をかけてる。赤緒さん……睨んでない?
僕は呼吸するのも忘れ、その様子を眺めてたけど。心臓が飛び出しそうになり、一旦二人から視線を外す。
処がそうしたことで、僕は更に自分の心臓を酷使することとなった。
「――!?」
二人から逸らした僕の視界は、新たな人物の登場を認めてる。
その時フードコートに現れていたのは――瀬山宗助(せやま そうすけ)だ。
瀬山くんは僕が座っている席の後方で立ち止まると、周囲をキョロキョロと見回す。言うまでもなく、赤緒さんを探している。
いくら何でも、不味くない? 否、不味いに決まってる!
三生は今、赤緒さんと話し始めたばかり。そんな処に、瀬山くんが行ったら……。
僕はそんなことを取り急ぎ想像するけど、頭は混乱する一方だった。というか、そんなこと無意味。
迷ってる暇はない。とりあえず、僕ができること。それは――
「や、やあ――偶然、だよね」
僕は席を立つと、とても不自然な笑顔を浮かべ、瀬山くんに声をかけた。
「あ――」
僕の手を振りほどき、三生が赤緒さんの方に向かって行く。その背中を見送りながら、たぶん僕の方がずっと緊張していたみたいで……。
うわっ……ホントに行く気だ。もう、目の前に……。あ、声をかけてる。赤緒さん……睨んでない?
僕は呼吸するのも忘れ、その様子を眺めてたけど。心臓が飛び出しそうになり、一旦二人から視線を外す。
処がそうしたことで、僕は更に自分の心臓を酷使することとなった。
「――!?」
二人から逸らした僕の視界は、新たな人物の登場を認めてる。
その時フードコートに現れていたのは――瀬山宗助(せやま そうすけ)だ。
瀬山くんは僕が座っている席の後方で立ち止まると、周囲をキョロキョロと見回す。言うまでもなく、赤緒さんを探している。
いくら何でも、不味くない? 否、不味いに決まってる!
三生は今、赤緒さんと話し始めたばかり。そんな処に、瀬山くんが行ったら……。
僕はそんなことを取り急ぎ想像するけど、頭は混乱する一方だった。というか、そんなこと無意味。
迷ってる暇はない。とりあえず、僕ができること。それは――
「や、やあ――偶然、だよね」
僕は席を立つと、とても不自然な笑顔を浮かべ、瀬山くんに声をかけた。