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クラス ×イト
第5章 ほころビ 【乾英太2】
突然こんなこと言って、絶対に変な奴だと思われてるよね。僕は恥ずかしさで、顔がカアッと頬が紅潮していた。
瀬山くんは別に表情を変えるでもなく、あるがまま僕の言葉を聞いていた。それはそうだろう。彼にしてみれば、これはどうでもいい話なのだから。
それでも「相談」と銘打って始められた故に、瀬山くんにも聞いたなりの義務感が生じたのだろう。こうして足を止めてくれたことも含め、彼は『いい人』なのだと思う。
そうだからこそ、この後の会話の流れの必然に、僕は戸惑うことになった。
「相手は誰?」
「う、うん。それは――」
自分から相談を持ちかけて、その質問を導いた以上は、僕はそれに口を閉ざすことは許されない。
「――藍山栞」
僕は膝の上に置いた手をギュッと握り、俯いてその名を答えた。
すると――
「ああ、なるほど。それなら――俺に相談した意味も、わかる気がするよ」
「え……?」
僕が顔を上げると、何故だか納得した様子の瀬山くん。彼は続けて、こんなことを話した。
「アイツ――西のことが、気になるんだろ?」
「あ……うん。実は、そうなんだ」
と、咄嗟に話を合わせた僕。
そう言えば、瀬山くんと西くんは昔からの親友だと聞いた気がする。思わぬことから状況は繋がり、僕のでっち上げた相談話は一気に具体性を帯びていた。
瀬山くんは別に表情を変えるでもなく、あるがまま僕の言葉を聞いていた。それはそうだろう。彼にしてみれば、これはどうでもいい話なのだから。
それでも「相談」と銘打って始められた故に、瀬山くんにも聞いたなりの義務感が生じたのだろう。こうして足を止めてくれたことも含め、彼は『いい人』なのだと思う。
そうだからこそ、この後の会話の流れの必然に、僕は戸惑うことになった。
「相手は誰?」
「う、うん。それは――」
自分から相談を持ちかけて、その質問を導いた以上は、僕はそれに口を閉ざすことは許されない。
「――藍山栞」
僕は膝の上に置いた手をギュッと握り、俯いてその名を答えた。
すると――
「ああ、なるほど。それなら――俺に相談した意味も、わかる気がするよ」
「え……?」
僕が顔を上げると、何故だか納得した様子の瀬山くん。彼は続けて、こんなことを話した。
「アイツ――西のことが、気になるんだろ?」
「あ……うん。実は、そうなんだ」
と、咄嗟に話を合わせた僕。
そう言えば、瀬山くんと西くんは昔からの親友だと聞いた気がする。思わぬことから状況は繋がり、僕のでっち上げた相談話は一気に具体性を帯びていた。